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執筆者の写真関東ロールシャッハ複合研究会

「AI」「知能」「ロールシャッハ」①

東京大学の代表的AI研究者のお一人、松尾豊先生によるご公演。



先生のよると、今は2010年から続く「第3次AIブーム(ディープラーニング)」の途上ということで、近年特にAI知能における発展の基礎となる、「知能」の様相が明らかとなってきたことをお話されています。


「知能の全体像」→《知覚運動系》と《記号系》の2階建て


先生曰く、①《知覚運動系》は人間を含んだ「動物のOS」とのことで、いわゆるユクスキュルの「環世界」的な運動と知覚の円循環(パターンの世界)がまずあると考える。


そして人間はその上(2階部分)に、②《記号系》つまりは「言語アプリ・記号処理アプリ」が乗っていて、そこでは「聞く」「話す」といった音韻をベースにした処理をしている。


この2つが同時的に動いているのが、人間の知能の特徴だということ(先生の仮説)。


一見難しい話が始まったと思われたかもしれませんが、これは強引に当てはめると、ウェクスラー式検査(特にWAISやWISC)における「言語理解(≒記号系)」と「知覚統合(≒知覚運動系)」の関係を言っているとすると、想像しやすいのではないでしょうか。


また哲学的あるいは生物学的、発達心理学的な議論をベースに考えると、《知覚運動系》は人間の初期の段階から駆動している世界であり、また《記号系》はそれよりやや遅れて生成されてくる世界でもある。あるいは《知覚運動系》におけるシステムの安定や身体的コンピテンスがその後の《記号系》の立ち上がりと並行して進み、その両者のインタラクティブな関係自体もシステムの安定には欠かせない。


そして阪大法の考えをそこに近づけると、《知覚運動系》が支配し《記号系》の発展が少ない発達の時期には(W)やDW的な反応が出やすく、その後の《記号系》の安定によって初期集約的な認知が可能になったり、外輪郭形態認知の重要性が抜きん出るようになり、それをベースとしたF+の産出や各種複合が可能になってくるという流れになるとも推測する。


AIの今後の進化と阪大法との関連を想像するとワクワクする話ではあるが、まだこの話は松尾先生の仮説に紐付けた私の試案に過ぎないので、この点のウェクスラー検査やロールシャッハテストにおける関連・発展の可能性については、今後研究会内でも検討していきたいと考えております。


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